静けさと彩りと

*そふぃーの森*

満月のお知らせ

空を観るのが好きなわたしは
日中は雲の流れ
夜は月や星を眺めている。

雲は 瞬間的に景色を変えるため
同時刻に物理的に近い場所でないと
共感しにくい。

星は 都心部では高層ビルと明かりが多く
のどかな地域ほど多くの星は観測出来ない。

しかし 月は 離れていても
似たような状態を共有できる。


わたしがあまりにも
今日の月は綺麗だ
新月
満月だ
満月より少し前の月が綺麗だ
月食
月と金星が近付いて綺麗だ などと
観たままの感想を言ってばかりいるので
周りの人々は
少々うんざりした表情になり
明らかに聞き流している事が多い。

ところが。
昨日の満月は 違った。

「満月だね」
などと画像付きのメールやLINEが
何件か届いた。


何かに追われるように
予定をこなしていた人々も
空を見上げる余裕をもてたのかしら。
または
自粛生活に疲れ 空でも観ようか
という気になったのかしら。

とても明るく綺麗な月。

「フラワームーン」
という呼び方には 全く馴染みがないので
そのへんは気にしていないのだが
昔 灯りといえぱ「火」だった頃には
特別に明るい満月の夜には
様々な呼び方をしてみたくもなっただろうし
そこには生活に合う意味があったに違いない。

星座や神話も きっと
暗闇を過ごす人々の豊かな空想であり
毎日観察してこその知恵だったのだろう。


わたしはオンライン飲み会など
流行りの交流には 全く興味がないけれど
満月だと気づいて連絡を頂けたことは
とても嬉しく想う。


『月が綺麗ですね』と訳した
(といわれる)夏目漱石を想いながら
返信に「月が綺麗ですね」と書いたが
通じなかった人もいて
あえて説明はせず 気づくまで

「月が綺麗ですね」

と連絡し続けてみよう と
いたずらっぽく笑って過ごした。



夏目漱石の日本語訳は
わたしにとっては 衝撃的な美なのだが
さほど気にもせず流されるのは
個人的に残念でならない。

一日中スマホを見ているのなら
これこそ検索せよ
という気持ちになった 綺麗な満月の夜。

sophie