静けさと彩りと

*そふぃーの森*

雨ニモマケズ・・・?

国語の教科書で読んだ
宮沢賢治 作『やまなし』

それは 不思議な世界だった

クラムボンはかぷかぷわらったよ」
クラムボンは死んだよ」

この部分だけを鮮明に覚えていて
あとは 自分のイメージの世界の中で
カニの兄弟を想像し楽しんでいた

決してこわいお話ではなく
クラムボン
「かぷかぷわらったよ」
という 独特の表現が大好きだったし
「二枚の青い幻燈げんとう」
という言葉も想像力をかきたてた
クラムボン」が なんなのか なんて
答えがでなければよいな と今も思っている

ちょうど 夏になると
カニやヤドカリを飼う機会もあったので
その可愛らしさをよく知っていたし
また それらの寿命が永くないことも
子どもながらに 知っていた
もしかしたら
子どもだけで世話をして飼ったために
長生き出来なかったのかもしれない


たった今 気になって検索してみると
サワガニは寿命が10年
ヤドカリは寿命が10~20年 ……!
夏祭りの屋台で軽い気持ちで買って
毎日部屋に放して遊んで ごめんなさい

ヤドカリに関しては 大きくなったものが
ヤドの貝殻から出てきたのに
入る貝殻がなく また戻ったところも見た
あぁ…ほんとうに ごめんなさい
・・・ちょっと恐いお話になってきた



『やまなし』をきっかけにし
宮沢賢治の数々の作品に
大人になって なんとなく触れてきた
その1つが これ

なかなか覚えられない
宮沢賢治 作 『雨ニモマケズ


雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
・・・・・
・・・・・
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハ ・・・



途中を覚えようとしないため 結果として
結びの一言も覚えられない

身体は丈夫で
でくのぼー と呼ばれ
褒められも苦にもされない人には
……なりたくないだろう

しかし わたしが暗唱出来ない部分は
善き行いが詰まっている肝心なところだ



この『雨ニモマケズ』の全文を読み
今のわたしは想うところがある

皆にでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
あまり気にされないような人に
わたしはなりたい のだ

緊急事態宣言後 自宅で過ごす時間が増え
自然と他人に構われない生活になり
世の中の邪魔にならないよう
静かに自宅で過ごす ということが
皮肉なことに 快適だったりもする

大切に想う人と 肝心な話をする
信頼している人たちと 適度な距離感で
気にし合って 心からほっとして微笑む
それ以上の事が必要だろうか

自分が誰かを大切に想い
その想いを伝えられる人の範囲が
やっと 解りはじめてきた気がする

sophie