静けさと彩りと

*そふぃーの森*

2020年の漢字

今年は、世界中の誰もが同じ想いを抱くという貴重な経験をした一年でした。
どこか一部の地域に何かが起これば、どこかの国から支援が届くと思い込んでいましたが、地球上に住んでいる限り、どこであろうと同じ危険を意識せざるをえない、誰も想像出来なかっただろう事がほぼ一年続き、一年では済まないような現状です。

今年の漢字は「密」。
過去をさかのぼると、何度か選ばれている文字がありますが、「密」は今後選ばれる事はないだろう、少々奇妙な一文字だと感じます。

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毎年、自分にとってどのような一年かと想いを巡らせるのですが、今年は『恩』。
「めぐまれた」一年でしたので「恵」が真っ先に思いつきましたが、文字から受ける印象として、こちらから何かを差し出すのではなく、いつの間にか多くをいただき、ありがたい事が多かったので『恩』。

世の中が大変な状況であっても、自らの苦労を表に出さず、周りを豊かな気持ちで包み込む存在に多く出逢いました。


どの作品も好きだと思える画家 ハマスホイ
使い心地のよい万年筆
初めて玄関に巣を作ったツバメとの出逢い
おもしろいラジオの語学講座
普段は決して公開される事のないネット配信
バロック音楽
素晴らしい音楽を奏でる人々
美を追及する人々
毒舌でも笑って話せるユーモアのある人
世界で活躍する一流の人々とのネット上の会話(これはまさに夢のよう!)
何があろうとも変わらない親友
唐突に始めた無謀な趣味
小惑星探査機「はやぶさ2」のもたらしたリュウグウからのサンプル


まだまだありますが書ききれません。
もともと家の敷地から出たくないといつも思っているわたしには、自粛のストレスは少なく、スマートフォン1つであらゆる情報が手に入るというのは幸運な事でした。
昨年まで2年ほど体調が優れず寝込む日が多く、外出など出来ずに過ごしていたので、家のなかの事が出来る程度に元気になっただけでも嬉しいのです。


それでも、世の中のピリピリした雰囲気を感じないわけはなく、そこに対処する程のエネルギーが無かったため違和感を感じるものを全て遠ざけ、SNSアカウントの削除をし、身を守る事を優先しました。

違和感に敏感になると、自然と本当に必要なものに出逢うようになりました。
自分の感覚を信じながら執着を手放し、かつ流れに逆らわないことが大切だとは知っていながら、このような追い詰められた現実がなければ実践することはなかったでしょう。
毎日が実験のようでした。
きっとserendipityセレンディピティ)を実感した方も多かったのではないでしょうか。


まだまだ安心し開放的な生活をすることは叶いそうもありませんが、動けないのなら頭脳を使い、生き抜く戦略を楽しむと割り切り、数年後を見据えた準備を淡々と行うつもりです。
試されている、どうしよう、などと思わず、今こそ頭脳とそれぞれの得意分野を駆使する時。


心をより良い位置に定め、いただいた恩に対し、どのような恩返しが出来るかしらと考えながら過ごす年末。
どこまでも楽しく広がる空想を、なんとか実現させたいものです。

sophie